木星社の素材作りの工程をちょっとだけご紹介します。

今回は7ゲージくらいの編み機で、ザックリ編んだニットカーディガンか、度詰めに編んでニットパンツなんかを作ってみたいと思ったので、そのための素材を作っていきます。

ただ作るだけではなく、長く使ってもらえる物を作りたいので、糸に強めに撚りを入れて、何度も洗っても型崩れしにくい素材を目指して作ります。
最初に用意したのはコットンの細番手糸。

7ゲージだと太番手の糸が合うのですが、一般的に太番手糸はあまり良い原綿が使われていないことが多く、風合いの良いものがなかなか出来ません。

細番手に使われるコットンは、上質な原料が使用されていて肌触りも良いのですが、7ゲージで編むには細すぎてそのまま使えません。

なので今回は細番手糸を何本か撚糸して、7ゲージに合うように糸を作ります。
先ずは4本の糸を合わせて撚糸します。

このときにかなり強く、普通の撚り回数の2倍以上の撚りを入れます。

こうすることで、しっかりとコシのある素材感が出ます。

けれども、単純に強く撚糸しただけでは出来上がったニットが斜行してしまい、着心地の良くないものになってしまうので、4本に合わせた糸をさらに2本束ねて撚糸して、斜行しないように撚りを調整します。
先ほど撚糸した糸を合わせてもう一度、今度は逆向きに撚ります。

それによって斜行しないように撚りバランスを調整するのです。
撚りのバランスをあわせることで、素材本来の風合いも引き出すことが出来ます。
一番上が今回作った糸です。

真ん中が4本に撚っただけの状態。

一番下がもともとの細番手糸。
細番手の糸の拡大写真。

もともとは均一性のあるきれいな糸です。
これを強く撚糸してしっかりとしたコシを出します。

この状態でもまだ均一な糸のままです。
それをもう一度撚りあわせることで糸の形状に凹凸が出来ます。

この糸の凹凸がニットに編んだときに、ポコポコとしたかわいい見え方になります。
糸が出来上がったらすぐにテスト編みします。

実際に生産するときは本生産用の機械で編むことがほとんどですが、テストのときは家庭用の編み機で編みます。
家庭用の機械といっても実は優れもので、これでしか編めないものもあったりするので、この機械を持っている工場に頼んで家庭用機で本生産をすることもあります。
編んだ後一度手洗いで洗ってから、乾燥機を使って乾かして、それでもちゃんと斜行しないで編地が曲がっていないかチェックします。
度詰めで編んだものの見え方はこんな感じ。

ナチュラルな凹凸感があってなかなか良いです。
拡大するとこんな感じ。

糸の凹凸が編地に面白い表情を与えています。
メランジのグレーでも作ってみました。

こっちは試しにザックリと透かし気味に編んでみます。
透かして編んでも糸がしっかりしているのでくたっとせず、まずまずの出来です。
拡大するとこんな感じ。

糸の凹凸は透かして編んだときにも表情としてよく出ます。
いくつか作ってみて、コシのある風合いが夏素材としても良いように思えたので、コットンリネンでも同じように作ってみました。
コットンリネンに強い撚りを入れているので、コットン100%よりもサラッとしてとても気持ちよい手触りです。
コットンリネンのナチュラルなスラブ感もプラスされて良い感じに仕上がりました。
このあと基本の素材が決まったら、それをいろんな季節やアイテムの形に合うように、いろんな色で試し染めして、一番ぴったりな色と形が決まったら企画を進行し始めます。

一つのアイテムを作るのに、色々と試行錯誤しながら素材を作っていくのですが、良い素材が出来上がっていくと、そこからいろんなイメージが浮かんできてとてもワクワクします。